のしかかる老婆 〜病院での出来事〜
病院‥そこは病や怪我を治す場所であると同時に「死にゆく者」が多数、存在する
「生と死」の混在する場所とも言える。
これは福岡県北九州市にある「某・救急病院」での出来事であり、
当時その病院に警備員として勤めていた私の父の同僚。
坂本さん(仮名)の体験談である。
坂本さんは当時、父と同じく病院内での夜勤で警備員の仕事をしていた。
警備員とはいっても「雑用」を頼まれる事もあり「ちょっと、そっち側を持ってくれない?」と頼まれたのが「遺体の運搬」だったり、
少々、嫌な雑用もあったらしいが‥。
坂本さんはその日、昼から翌日の昼までの勤務になっていたのだと言う。
病院では「さほど」珍しくもない事ではあるのだが、
その日の夕方頃に病室で「ひとりの老婆」が亡くなったのだという。
彼は搬送されてきた時に目にしたのだが、残念な事に「手遅れ」だった様で、
その詳しい事情は知る由も無いが、彼は「その老婆」の顔だけは覚えていたらしい。
‥やがて夜はふけて彼は「仮眠」をとる為に宿直室のベッドに潜りこんだらしい。
‥しばらくして彼は眠りについたのだが、
深夜「あまりの息苦しさ」に目を覚ましたのだという。
その時、彼の身体は全く自由の利かない状態‥。
いわゆる「金縛り」になっていたらしいのだが、彼にとって「はじめての経験」だったので、
どうすればよいのか全く分からなかったという。
‥そして彼は「息苦しさ」の原因となっているものに気がついたらしい。
‥重かったのだという。
まるで布団の上から押さえつけられている様に
「何か」が自分の上に「のしかかっている」らしいのだ。
そして彼は「それが何なのか」を確かめようと視線を自分の胸元に落としたらしいのだが‥。
最初、それは良くは見えなかったらしい。
・・しかし、誰かがのしかかっている事だけは確かに感じられたのだという。
「一体、これは何だ?」 ‥と、困惑する彼の目に、
やがて「その者」の姿が見えてきた。
‥そして彼は更なる恐怖を感じる事となった。
それは、先ほど亡くなった筈の「あの老婆」だったのだ。
その「老婆」が何も言わず、彼の上に「のしかかっている」のだという。
‥それは不運な事に夜明け近くまで続き、やがて解放されたらしいのだが、
結局それから「一睡」も出来ないままだったという。
ろくに睡眠のとれなかった彼の翌日の体調は最悪だったらしい‥。
そして顔色の悪い彼に父が声をかけると「その事情」を話したらしい。
父は「そんな事もあるんだなぁ・・」と語ってくれたものだ。
私は「アナタの息子は結構、そんな目にあってるゾ・・!?」と思ったものだが。
‥まだ死後、間もない老婆は何を訴えたかったのであろうか‥?
当然ながら「そんな出来事」が起きたという話は老婆の親族には伝えられなかったらしい‥。