無人自動車
..それはいわゆる「人の力」をもって、動かされていた物では無かったという事だけは事実だ。
「霊現象」とも「超能力」によるものだとも言われている‥「ポルターガイスト現象」。
そう呼ばれる、その出来事は「何も人為的・物理的な力」を加えることなく、
物体が移動する事柄を指すのだが、
まさか自動車という巨大な物体までもが「何らかの意思」によって動かされる‥。
そんな事が起きうるのであろうか?
‥とは言っても、これからする話は「事実」起こってしまったのだから「理屈」はともかく、
信じるより他は無いのだが‥。
さて、今回の話は当時、高校生だった私の体験談だ。
本州と九州を結ぶ「某・トンネル」の北九州側には歩道橋が架かっているのだが、
私はたまに、その付近で不可思議な出来事に遭遇する事があった。
‥とは言っても、すれ違った筈の「黒いスーツ」の人が、
忽然と姿を消してしまったなどと言う程度の「たわいもない出来事」だったのだが。
私は当時、塾に通っていたのだが、
その日、気分転換に外の空気を吸いに外へ出た。
私の通っていた塾は割と「自由」に出入り出来る環境だったのだ。
その場所が丁度そのトンネルの真横に在った。
外に出て私はある民家の前で、腰をおろし、「煙草」を吸っていた。
秋の夜の澄み渡った空気の中で煙草を満喫していたのだ。
‥しばらく、そうしていると私の右側から一台の車が走ってきた。
そして私の腰をおろしている「すぐ横」に停車したのだ。
「ああ‥この家の人が帰って来たんだな」・・と、車の方を見たのだ。
ライトが点いているので、良く中は見えなかったのだが、
確かその時は「中年の男女が乗っていた様な気がした」ものだ。
‥停車してエンジンが切れ、ライトが消えた。
‥いたって普通の流れなので、私は特に気にもせず、また煙草を吸い始めたのだが‥。
何か妙だったのだ。
いつまで経っても、車のドアが開かない。‥つまり、人が降りて来ないのだ。
車が停車し、エンジンが切れて、ライトが消える。
その後、乗っていた人は降りてくるだろう。
・・だが、数分経過した筈なのに一向にドアも開かず、人も降りて来ない。
車は私の右側「2M程度」の位置に停車したので、人が降りてくればスグに分かる筈なのだ。
不思議に思った私は立ち上がって何気ない振りをしながら
(気のせいで目があったりすると、さすがに気まずいので)車内を覗きこんだ。
その時、私は目を疑った。
‥誰もいないのだ。その車を運転していた筈の人の姿が‥そう、誰も乗っていないのだ。私は驚いて車内をくまなく覗いてまわったのだが確かに、誰も乗っていない。
‥という事は、つまりこの「自動車」は無人で街中を走っていたとでもいうのだろうか?エンジンまでかけて。
・・ただ私の目の前には「自動車」と言う名の
「無機質な物体」が存在していることだけは確かだったのだ。
私は少し気味が悪くなり、その場を足早に立ち去った。
ただ、気になる事と言えば‥「あの車の所有者はその事を知っているのだろうか?」
・・と言う事だ。
・・ 余談だが、現在、私の借りている駐車場には
「助手席にジッと女性が座っているだけ」のワンボックスカーが在った。
一度、勇気を振り絞って近づいてみたのだが、その女性は忽然と消えてしまった。
・・また、結構「そういう出来事」は多く、
後部座席で何かを探していた様な女性がいつの間にか姿を消していたり、
深夜の人気の無い駐車場の車内で数十分の間「微動だにしないカップル」がいた事もあった。
当然、気がついた時点で私は逃げているのだが。
‥車の中には、その所有者の知らないうちに‥何かが起きる物もあるのかもしれない。
・・これも余談だが、私の現在「小学生になる娘」の通学路に、
この「トンネルの歩道橋」はある。
その付近の電柱の下に「体操座りをしている小学校一年生位の女の子」がいるのだという。
娘によると朝の通学途中にたまに見かけるらしいが、
「どうして一年生位だって思ったの?」と尋ねたところ
「黄色い帽子をかぶっていたから」らしい。
そんな時間に、そんな場所で座り込んでいる事自体、何処か不自然だとは思わないだろうか?