
狂気に歪んだ顔。
‥そんな、ありふれた言葉だが「それを実際に目の当たりにした事」のある人は、
どれくらい居るのだろうか?
・・この世のものでは無い存在に脅かされる事で実際に経験してしまった‥。
これからする話は、その時の体験談となる。
..その日の深夜、ふと目を覚ますと、
私にとっては「久しぶり」の金縛りになっていた。
‥それだけならば、私にとっては「たいしたことの無い」ありふれた出来事なのだが、
どうも右の太もものあたりに「誰か」立っている気配がしたのだ。
目だけは自由な、その状態で「右足」の方に視線を向けると‥まず「足が見えた」のだ。
‥しかし、それは普通の足では無かった。「‥鎧?」
そのまま、その足からずっと視線を上へ向けると、
‥そこには「真っ赤な鎧」に身を包んだ「武者」が立っていたのだ。
‥そのうち、顔も見えてきた。ザンバラ髪で、額から血を流した‥。
そう、私がテレビでしか観た事の無いその姿は、正に「落ち武者そのもの」であったのだ。
それだけでも私はかなり恐怖を感じていたのだが‥。
それだけでは‥すまなかったのだ。
‥その額から血を流した「落ち武者」は中腰になり、
刀を右上に振りかざしながら「狂気に歪んだ笑い顔」で、いかにも楽しげに‥
斬るぞ‥ 斬るぞ‥=dと、私を脅し始めたのだ。
何度も、何度も‥刀を肩口に構え、揺らしながら‥。
そんな「恐怖の絶頂」が、数分の間続いたのだ。
・・そのうちに前触れも無く「落ち武者」は、スーッと影が薄くなり、
姿を消し、それと同時に私は「金縛り」から解放されたのだ‥。
実は、それから数ヵ月後に「その時の落ち武者」が、
今度は右の足元側に「天井」に近い位置に浮いていたのだ。
しかも今回は「もう一人」連れて。
‥ただ、「もう一人」の方は立派な武者で、
その時は何をするでもなく「ただ浮いていた」のだが..?
例の「落ち武者」の方も同様にだ。その時は何故か、
以前感じた邪悪な気配も全く感じられなかった。
・・そんな様子なので、その時は、そんなに恐怖心を感じなかったのだった。
‥だが、いつになれば消えるのか分からないので、
以前、テレビで「某・霊能者」が「‥霊がいたけど、自分の中に吸収しちゃった」
..と語っていた事を思い出し、好奇心の出てきた私は、それを試してみようと思いつき、
「吸い込んでみた」のだ。
‥すると、その二人は「霧」の様に彼の口の中に吸い込まれていってしまった・・。
「お?上手くいったな?」‥と思ったのだが、私はその時点ではたと気がついた。
全く間の抜けた話なのだが‥。
「‥えっと、この後って‥どうするんだろう‥」
.. 幸い、それに関しては災いとなる様な事は起こらなかった様だが‥。
‥私の先祖はワリと、そこそこの地位にあった武士の家系だったらしい。
(もっとも歴史に名も残らない程度の様だが、どうやら城も持っていたらしい。
落城したと家系図にあるのだが‥)
また、それより後の時代では「私の自宅からも近い場所」で、かの有名な「関ヶ原の戦い」にも参加していたらしいので、「何か関係があるのかもしれない」と、今でも疑問に思っている。・・もっとも、全く関係も無いかもしれないが?