これは私の自宅より近い、それこそ徒歩で行ける程の距離にあるトンネルの話だ。
そのトンネルは道路を跨ぐ程の大きな鳥居のすぐ先にあるのだが、かつてそのトンネルは、荷物
の運搬専用の汽車が走っていたもので、今はほとんど使われなくなっている。
私がまだ幼かった小学生の頃は、今ほど「テレビゲーム」などが普及しておらず、近所の山や海
岸が主な遊び場であり「大人が知らない様な場所」まで地元の地理には詳しくなっていた。
・・・今となっては馬鹿な事なのだが、ドブの中までもが「私の探検」の場所であり、そのトンネルよりすぐ横にある山の麓のドブ・・排水溝から入り、這いずりながら進んでいって海にまで出てみたり・・。
つまり「普段、人の入らない所」まで知りつくしていた。
あまり自慢にはならない話なのだが・・・。
「このトンネルは何所につながっているんだろう?」・・と当然、そのトンネルも少年であった私の
興味をひくには十分な代物だったのだが、真っ暗な「そのトンネル」にだけは当時、仲間の悪ガキ
達も決して入ろうとはしなかったのだ。
何故ならば、そこには「何とも言えない薄気味悪さ」を感じていたからだ。
・・・その理由はトンネルの入り口から数メートルの場所‥。
まだ、入り口から見える所には何故か「白い十字架」がたっていたからなのだ。
それ故、怖いもの知らずの「悪ガキ達」も不気味に感じて入らなかった。
・・・当然、私もその一人なのだが。
・・・とは言っても、このトンネルには「私自身の霊体験談」は存在しないし、十字架の由来も知り
はしない。
・・・ただ、そのトンネルのすぐ横に「花束」が置かれていた事があった事から当然、かつて死亡事
故が起きた事があったであろうと用意に想像は出来るのだが‥。
ただ、その場所での「恐怖体験談」は存在する。
その内容はかなり「強烈な話」になるのだが・・・。
私が中学生の頃に白松さん(仮名)という割と仲の良い先輩がいた。
白松さんは「その日」卓球部の自主トレーニングで早朝ランニングをしていたらしいのだが、
その時に「例のトンネル」の上に人影を見たのだという。
普段、人の立ち入る様な場所では無いし、そんな道もない。
だが、人がいたのだという。
しかも夜も明けきれぬ早朝に・・・である。
気になった白松さんは、生い茂る雑草を掻き分けて近づいて行ってしまったのだという。
・・・そして目にした光景は実に恐るべきものだったのだ。
それは、木の枝に結ばれたロープからぶら下がった人の姿‥。
・・・そう、首吊り死体だったらしいのだ。
当然、白松さんは慌てて逃げ帰ったらしい。
・・・ただ当時「そんな事件があった」という話は全くと言っていい程に、近所ではされていなかっ
たし「警察」が動いた風でも無かったので、どうやら 白松さんの見た「その首吊り死体」とやら
は、どうやら「この世のものでは無かった」のかもしれない。
・・・余談だが、白松さんはその後「卓球部」を辞めて「物理部」へ転身した。
その事が原因だったのかどうかは疎遠となってしまった今となっては確かめる術も無いのだ
が・・。
ちなみに現在、そのトンネルは封鎖されており、何故か「そのトンネル」には、その白い十字架も
存在してはいない。