霊

憑依したもの 〜城跡にて〜


仮面ライダーフリークス&恐怖!夜伽話

 これは神野さん(仮名)が高校生の時に、その渦中に巻き込まれてしまった
「戦国時代の霊に憑依された心霊体験談」である・・・。

 その頃、彼女は仲のよい友人数人で学校付近の神社でよく遊んでいたそうです。
 その神社の境内には小さな公園があり、彼女達はベンチに座り、「おしゃべり」をするのが日
課になっていたのでした。

 さて、その中でも霊感が強かったという友人の直子さん(仮名)。
 その直子さんと一緒にいた時に「それ」は起こったのだそうです・・。

・・・ある日の事。

 直子さんが、いきなりしゃがみこんで「気持ちが悪い」と訴えだしたのだそうです。
 彼女は直子さんをベンチに寝かせ、別の友人の一人がジュースを買いに行きました。

・・・しかし直子さんは元来、体が弱かったらしいので、それまでも幾度かそういうことがあった
らしく、とりあえず、ジュースでも飲んで休めば帰れるようになるだろうと、神野さんは思って
いたらしいのですが・・・・。

 それが彼女の体験する事になる、一連の「奇怪な出来事」の始まりだったのです・・・。


 突然に苦しみだした直子さんは、その口から「尋常では無い言葉」を発したのだそうです・・。
 それは、しゃがれた女性の声で・・・。

『おのれ〜 そなた!兄上を裏切りおったな!恩を仇で返すとはこのことじゃっ!』

・・・その口調はまるで、戦国時代から抜け出してきたかの様なものだったとの事です。

 彼女達は驚き、何度も彼女の名前を呼んだらしいのですが、直子さんの口から発せられる言葉
は、とても彼女のものとは思えない・・・いや、この世のものでは無い「尋常ならざる何か」が言
わせているに違いないと思わせる様な言葉・・・。


『そなたは誰じゃっ!?触るなっ!!』

・・・という事ばかりを繰り返していたのだそうです。

 幸い近くにPTAの役員宅があったらしく、咄嗟に神野さんは「突然倒れたんですけど・・。」
と話し、直子さんの母親に連絡をとってもらうと共に、救急車を呼ぶ事になったのだそうです。

医師の診断によると次の様な見解であったと言う。

「受験も近いことですし、貧血を起こして倒れたんじゃないでしょうか?」

・・・ということで、「今回の事態」は納まったと思っていたらしいのですが・・・。

 それから三日ほど「体が動かない」とのことで直子さんは学校を休んだらしいのです・・。


 神野さんは彼女の身を案じ、お見舞いに行ったらしいのですが、その時に彼女から「不思議な
話」を聞かされたとの事でした。

・・・その内容は直子さんが異常をきたした場所。
 確かに「町の史跡の看板」が出ていたという「あの公園」での事でした・・・。

『私達が遊んでた神社と公園は、もとは戦国時代の城跡だよね?
 あそこで死んだ侍の妹が入って来ちゃったの…出て行ってって言っても聞かなくて…』


 直子さんが「霊媒体質」だとは知っていましたが、その瞬間を間近で見たのは彼女にとっては
初めての事だったそうです。

 そして直子さんは彼女を指差して、こう言ったのだそうです・・。

『トヨさん(霊の名前)があなたならわかってくれるって言ってる。
 悪いけど、隣町の神社にお参りして来てくれない?
 隣町のA神社がトヨさん達の前線基地みたいな所で落ち着けるんだって。
 そうしたら離れるって言ってるから…』


 その言葉に他の友人は怖がっていたそうなのですが、何故かその時、彼女は恐怖を抱かなかっ
たそうです・・・。

 彼女は翌日、買い物を頼まれた隣町のスーパーに立寄る前に、A神社へと赴き、トヨさんの名
を呼んで、お参りをしたらしいのです。

 そして無事にお参りを済ませたと直子さんに電話した所、その瞬間、急に彼女を襲っていた頭
痛と吐き気が嘘の様に治まったとの事でした。


 実は後で話を聞く所によりますと、どうやらA神社にいた大名の子孫が「直子さん自身」であ
ったのだそうです。

 そしてまた、神野さんの父方の先祖もどうやら、その地元ではないそうなのですが、「武家の
家柄」であったらしいのですが、その「トヨさん」とやらが、彼女ならわかると言ったのは、
武家の子孫だったからなのか? 家同士のつながりがあったのか・・・?
・・・それは今でも判らないとの事ですが・・・。

 それから数日後、直子さんは「ご先祖のお墓参り」をしたとの事でした。

 そして時は流れ・・・。

 彼女達は無事に高校を卒業し、直子さんは地方の大学に進学して、しばらくして結婚したと共
通の友人から聞かされたものの再び逢う事は無かったそうです。

・・・しかし、この直子さんが「ご先祖の墓参り」に行った後。
彼女の「霊媒体質」は無くなってしまったとの事でした・・・。