2015年冬山合宿槍ヶ岳(中崎尾根)の記録

日程:2015年12月18日(金)〜22日(火)

はじめに
昨年は荒天が予想され西穂高岳に転進したため、2年越しでの挑戦となった。時間短縮にスキーを活用する用意をしていたが、雪が少ないため利用は中止にした。

12月18日(金)
19日00:00横浜⇒厚木経由⇒高尾山IC⇒松本IC⇒4:30新穂高温泉駅駐車場

各自仕事の都合もあって出発は19日0時とした。Nさんの家に赤旗を受け取りに行き、M夫妻と合流し予定通り出発した。渋滞はほとんどなく、松本のコンビニに寄って買い出しをして MHさんに運転を代わってもらい4:30頃に新穂高温泉駅の駐車場に到着した。駐車場は空いていた。車の中ですこし仮眠することが出来た。行程上に雪はなかった。

12月19日(土)
6:30起床7:20→8:40穂高平小屋8:50→9:55白出沢(林道終点)10:10→12:10滝谷避難小屋12:30 →14:20槍平小屋

幸いに積雪が少ないので、ゆっくりと薄明るくなってから準備を開始した。登山届は岐阜県庁防災課および長野県警松本警察署に事前にメールで提出していたが、新穂高登山指導センターのポストにも投函し、登山届提出済証のカードをもらって小雪の舞う中を7:20頃出発。林道は5センチ程の積雪で4人ほど先行者がいるようだった。途中近道を経由して穂高平小屋に8:40到着。さらに林道を小一時間歩いて9:55に白出沢に到着した。夏のコースタイムに比べて30分程遅いペースだ。雪は止んで時折青空も出てきた。
林道が終わり登山道に入ると赤旗が枝に引っ掛かって歩きにくく、途中から手に持って歩いた。そのため1本竹が割れてしまったので滝谷避難小屋の手前に差しておいた。

滝谷避難小屋には2時間程で到着。途中のブドウ谷とチビ谷の積雪は少なく沢の岩が所々見える程だったが、大きな雪の塊がいくつか転がっていた。沢の上部にはそれなりに積雪があって転げ落ちてきたようだった。滝谷の横断は雪が少なく、一歩間違えると岩の隙間にはまりそうで歩きにくかった。

春にはデブリで埋まる南沢も穏やかな状態で14:20に槍平小屋に到着した。夏のコースタイムに比べて倍近くかかってしまった。小屋周辺には誰もおらず、トレースの主はそのまま中崎尾根に上がっていったようだ。
水場は沢が流れている状態で少し降りれば普通に水を汲むことが出来た。トイレは新しく綺麗で、雪に埋没しておらず普通に扉を開けることができた。そのような状況だったので、冬季小屋には入らずにトイレに比較的近い場所にテントを設営した。夕食はアルファー米でマーボ茄子丼+具たくさん味噌汁。天気図を書いて翌日は移動性高気圧に覆われることと、明後日は下り坂で有ることを確認した。甘く見て防寒ズボンを履かなかったら明け方寒かった。4天に3人と言う事もあるが明け方は冷え込んだ。

12月20日(日)
4:50(起床)6:50→8:40奥丸山山頂8:50→9:50幕営適地(2350m)→12:40核心部下部(2600m)→13:30千丈乗越→16:10槍ヶ岳山荘→16:50槍ヶ岳山頂→17:10槍ヶ岳山荘冬季小屋

4:30起床の予定だったが寝坊してしまう。計画ではラッセルを想定して中崎尾根上でテントを張る予定にしているので、慌てずに7:00出発予定として準備を進めた。朝食は餅2つを入れた雑炊。
天気は雲一つない快晴で風も無く、雪も安定しており最高のコンディションだ。

アイゼンを付けて6:50に出発。朝早くに単独行の先行者がいたこともありトレースが明瞭で装備は重いが良いペースで高度を上げることができた。最高の気象条件なので、出来れば今日中に槍ヶ岳山荘冬季小屋まで行こうと言う話しになった。

中崎尾根上でどんどん離れていく単独の先行者を見ながら、標高2500mに近付くと、大喰岳西尾根から飛騨沢に下りている3人パーティーが見えた、昨日のトレースの主であろうか。また、千丈乗越から中崎尾根に一人下ってきて、先行者と話しをしている様子だったがその人はそのまま飛騨沢へ降りて行き、先行者は引き返してきた。時間切れで登頂を断念して引き返すとのことだった。
時間は12時を過ぎ、我々も余裕は無いが、恵まれた天候を逃す手はなく先に進む決断をした。

いわゆる核心部の下部は雪の急斜面で這松側ではなく、真ん中をピッケルを差しながら登った。上部はザレた斜面が露出していて足場が悪く、ピッケルが効くほど雪も無く、登りにくかったが、ロープは出さずに登り切った。途中懸垂用と思われる支点があったが古くてハーケンが一つ抜けていた。登りきったところで先頭をMHさんに代わってもらい進んだ。千丈乗越に至る途中の細い稜線も適度に雪が付いていて風も弱かったのでロープは使わなかった。春は気がつかなかったが補助用のロープが地面を這って張られていた。
13:30、千丈乗越に出るとさすがに風が出てきて寒かったので休憩もそこそこに前進した。
昨年の春の時は岩峰の先から千丈沢側に入ったが、今回は飛騨沢側をひたすらトラバース気味に登り小屋の横へ抜けた。雪面は凍っていなかった。日が傾く状況の中で太陽の左右に幻想的な幻日を見ることができた。稜線に出て槍ヶ岳を見上げると、夕暮れの迫る中バリエーションを登攀中のパーティーがいた。荷物を飛ばされない場所に置いて一般ルートを登った。一か所ロープを伸ばしたが良く見ると横に鎖が出ていたのでそちらを使って行くことが出来た。何とか完全日没の前には山頂の祠に到着することが出来た。記念写真を撮ってヘッ電を付けて戻った。

槍ヶ岳山荘の冬季小屋に入ると、先ほどのバリエーションを登っていたパーティーは天候が崩れるのでこれから夜行で下山するとのことだった。余った水を分けていただき、冬季小屋には我々3人だけとなった。

夜はフリーズドライ。夜は風が強くなり、出入り口がガタガタとうるさく寝付けなかったので夜中に養生してなんとか黙らせた。

12月21日(月)
4:30(起床)6:40→7:25千丈乗越→7:50核心部下部(2600m)→11:00幕営適地(2350m)→13:30奥丸山山頂→15:40槍平小屋

4:30起床。小屋は貸し切りだったので広く使えて楽に準備することが出来た。一人1000円の小屋の使用料を箱に納めて、雪の降る中をゴーグルを着けて6:40に出発した。この状況では穂先に登るのは大変だったので、昨日登ってしまって大正解だった。小屋の周辺はそれほど積雪していなかったが、風のせいもありトレースは消えていた。しかし、西鎌尾根上は雪が飛ばされていて地形を把握することができて視界も効き、ルートを外さずに下ることが出来た。途中冬毛の2羽の白い雷鳥が強風の中を飛んで行った。初めて見た飛ぶ雷鳥にもびっくりだが、強風の中を飛んでいく力強さにさらにびっくりした。千丈乗越からは雪崩の危険がある場所ではあるが、総合的に判断して夏道ルートで高度を下げてトラバースして中崎尾根に移動した。

中崎尾根に入ると風が弱まった半面積雪量が増えてきた。昨日のトレースは時々残影を見せてくれたがほぼ失われていた。傾斜が緩くなり樹林帯に入った2420m付近でワカンを装着した。ガスが濃くなり視界が効かなくなってきたが、稜線上のアップダウンを時に腿上まで雪に埋まりながら進んだ。秀樹さんのガンバリのおかげで4時間程で最後の奥丸山の登り返しに到着できた。ここでトラバースをするか迷ったが登り返しがあるとつらいので見送り、さらに1時間かけて奥丸山の山頂に到着することが出来た。山頂は昨日と一変していて本当に奥丸山なのかと疑いたくなる状況で、支尾根にも惑わされて下りる尾根がすぐには分からなかった。思案の末に進むとすぐに赤テープがあった。しかし赤テープが途切れることがありルートミスをして稜線南側の急斜面に入り込んでしまい、ずるずるの斜面でセルフビレイを取りながらワカンからアイゼンに履き替える羽目になってしまった。

その後は慎重にルートチェックをしながら下り、15:40に誰も居ない槍平に到着した。

高度が下がるにつれて気温が上ったからか湿度の高い雪に変わり、全身ビショビショになってしまった。この状態でテントでは不快なので、誰も居ない広い冬季小屋にお世話になることにした。予備の下着に着替えたこともあり快適な夜を過ごすことが出来た。

12月22日(月)
4:30(起床)6:20→7:20滝谷避難小屋→9:10白出沢→10:10穂高平小屋10:20→11:10中崎山荘奥飛騨の湯⇒18:30横浜

ゆっくり7時出発のつもりだったが、みんなの準備が早く整ったので6:20に出発した。天気は回復した。相変わらずのラッセルではあるが、樹林帯の中に入ればルートは明確でトレースの残影も捉えやすい。誰か登ってくるかと期待したが、誰にも会わないまま穂高小屋に到着した。下りは近道を使わずそのまま林道を歩いて、中崎山荘奥飛騨の湯に11:10に到着。新穂高登山指導センターに下山届を提出してから温泉につかり、楽しみにしていた飛騨牛朴葉ステーキを食べた。帰路も目立った渋滞も無く横浜に到着した。


(KN記)

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