ビクター「6A−22」修復記


(新)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランスレススーパーラジオその3 > ビクター「6A−22」修復記

長崎県のT.S様から寄贈された、日本ビクター(Victor)の「6A−22」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)、6M−E10(同調指示)である。オートトランス付きの、セミトランスレスラジオである。マジックアイには小型の6M−E10が使用されている。物置の整理をしていたら、一緒に使っていたレコードプレーヤーと共に、元箱付きで出てきたとの事で、長崎県のT.S様から寄贈されました。本当にありがとうございます!


修復前の内部様子。内部はそれなりに埃が溜まっている。


修復前のシャーシー上部の様子。バーアンテナ内蔵で感度が良さそうである。左端のトランスがオートトランスである。何とNSB(当時の日本短波放送)受信用に、クリスタルマーカー回路が内蔵されている。


修復前のシャーシー内部の様子。大型のペーパーコンデンサーが何個か見られる。実装密度が高く、ごちゃごちゃしている。何とこのラジオ、ヒューズが付いていない。アメリカ製のラジオでは、よく見かけるが、国産でしかも有名メーカー製のラジオで、ヒューズが付いていないとは・・・。


このラジオに付いていたタグの後ろには、次のような記載があります。(以下原文のまま)
<ビクターのマークは、こんな可憐なエピソードをもっています。>
 このマークの原画は油絵で、今から六十年前、ロンドン美術協会会員であった、フランシス・バラウドによって描かれたものです。原画のバラウドの兄は「ニッパー」と呼ぶ非常に賢い忠実なフォックス・テリヤを可愛がっていたのですが、兄がなくなってからは、バラウドが愛育しておりました。バラウドは、当時の幼稚な蓄音機を持っていましたので、時々兄の吹き込んだレコードをかけました。するとニッパーはけげんそうに耳を傾けて、なつかしい彼の主人の声にきき入るのです。バラウドは、その姿に心をうたれてこの絵を描いたのでした。「ヒズ・マスターズ・ボイス」いつの間にかいなくなってしまった主人の声を、不審さうにきき入っているニッパーの可憐な姿は、ビクターの前身、英国蓄音機会社の人々を感激させ、遂にその名画の使用権を獲得、これを商標としたのです。この原画は今も、ビクター系事業会社の崇家である英国蓄音機会社社長室の暖炉の壁に掲げてあります。そして、それ以来この由緒あるマークは、ビクターのレコード・ラジオ・テレビ・電蓄などに美しくしるされ最高度の品質を誇るビクター全製品の象徴として世界中の音楽愛好家の皆さまから深く信頼され、愛されているのです。


電気配線の修復が完了したところ。全てのペーパーコンデンサーを交換しました。


マジックアイの輝度は、明るい部屋でやっと見える程度でした。


修復が完了したところ。NSBモードに切り替えると、49mバンドのNSB(現ラジオ日経)の同調が大変容易になりました。長崎県のT.S様、大切に使わさせて頂きます。ありがとうございました!

以上、修復作業時間は約5時間、修復部品代は約1,500円でした。

誠文堂新光社から2007年11月中旬に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!