
平成14年1月11日私の経営する青泉社ビル(大阪市北区堂島)の事務所において、イタセンパラ会議を開催しました。出席者は淀川工事事務所より酒井事業対策官、森田河川環境課長、竹中淀川工事枚方出張所管理係長、研究者より紀平肇、小川力也、中西史尚の三氏、当方より林美正、高田昌彦、および木村でした。会議は約1時間半かかり、主な議題は樟葉、牧野ワンドの掘削に関するものでした。森田氏の説明ではこの掘削は2月に開始し6月までかかるとのことでした。
尚このワンド掘削工事の開始ははじめ1月と言われていたのが、かなりおくれ気味だったので2月と3月に森田氏に連絡して説明を求めました。3月の連絡は淀川環境委員会の公式討論会の行われた席上におけるものでしたが、その際の返事では4月初めに開始して6月に終了予定とのことでした。なお森田氏は3月一杯で転任され、山本氏と交代されました。
さて新設された樟葉ワンドは6月初旬に完成した旨紀平氏より連絡があり、6月7日に紀平氏の案内で視察しました。面積は山本課長に照会したところ概算で2000平方メートルとのことでした。付言すると牧野ワンドも視察したがこれは水路のような感じで、ワンド的機能をもつとは思えませんでした。
樟葉ワンドの完成によってイタセンパラの緊急保全対策は動き出すことになるのですが、そのやりかたについては意見が分かれています。イタセンパラの自然流入を待ちたいと言うのが研究者中心の関係者の考えですが、今年は増水が殆どなく樟葉ワンドも一回冠水しただけです。冠水しなければイタセンパラは流入しません。われわれ保護者側の考え方では、産卵用の二枚貝をまずワンドに移植して、その誘引力によりイタセンパラの出現を待ちたいのですが、研究者的志向では自然流入を期待したいようです。
今の所われわれもその意向に従っているのですが、保護的見地を優先する立場からは自然流入が期待できなければ二枚貝の移植を行いたいと考えています。樟葉ワンドで一度イタセンパラの流入が確認されれば、今後の保護事業が非常にやりやすくなるということに留意して頂きたいと思います。
尚樟葉ワンドの管理には淀川環境委員会が強い発言力を持っており、実質的にはワンド部会会長の紀平肇氏が衝にあたっています。紀平氏はもともと樟葉ワンドのイタセンパラの発見報告者であり、実力のある人だからわれわれにも異存はありません。ただ一般的にいうと研究者は批判的言辞が多く行動力を欠いているようです。
樟葉ワンドの掘削についても、後で自分たちが言っていたことだと言う発言がきこえて来るが、それでは何故われわれが乗り出す以前にやらせることができなかったのかが、不思議です。従って今後ともエコロジストの立場の発言を継続したいと考えています。
尚本年10月に樟葉の第二ワンドの掘削が開始され、来年2月に完成する予定です。面積は第一ワンドの5割増しになります。今回の樟葉ワンドの新設に付いては淀川工事事務所長宮本博司氏の熱心な協力がありました。記して敬意を表したいと存じます。
次に本年7月8日エコロジストの日比野尚樹氏より連絡あり、淀川支流木津川のワンドが周囲の木の伐採と取水の為に潰されかけており、何とか保全をしてほしいとのことでした。このワンド群は消滅したイタセンパラが、その後復活の兆しを見せている木津川最後のワンド群です。復活は豊富な二枚貝の存在によるものではないかと考えられています。いずれにしても非常に重要な場所であるので、翌9日淀川工事事務所河川環境課へ連絡して、事情を説明してその対策を求めたところ、たちまち保全警戒体制がとられて、日比野氏も胸をなでおろした旨連絡がありました。
それから城北ワンド群のイタセンパラに付いて若干申し述べます。
ここのイタセンパラが増加して、もはや絶滅の危機は去ったと言う感じの新聞報道が相次いでいます。たしかにこのワンド群のイタセンパラが昨年度から増加に転じたのは事実ですが、別に官民あげての保護活動の結果ではありません。増加の原因は河川改修工事のため水位を下げたことですが、何故水位を下げたら増えたかの理由は、はっきりしていません。
城北ワンド群の下手に淀川大堰が出来てから、このワンド群の水況は人為的に管理されているので、その管理のやりかたにミスがあればイタセンパラはいつでも絶滅する危機をはらんでいます。絶滅の恐れのある希少魚種が人為的に管理された環境の中でしか生息していないと言う事は、生物保全の原則に反します。だから本種保全のためには自然のサイクルに従った水域で保全用のワンドを造る必要があるのです。それが樟葉ワンド群です。
以上で本年度のイタセンパラに付いての報告を終わります。