平成20年下半期ならびに平成21年3月末までのご報告

 今年は相当きびしい年のようですね。経済危機に加えて環境破壊。私も気を引き締めて、少なくとも後1年はがんばりたいと存じます。

淀川のイタセンパラ問題
 昨年は実りのない年でした。折角国交省近畿地方整備局長布村明彦氏とお目にかかって話はまとまったはずなのに、その後すっかり挫折してしまいました。また先期の報告で述べた国交大臣あて提出した2回にわたるイタセンパラ再生に関する要請もついに回答いただけず仕舞でした。
 こうして歳月は無為のまま過ぎて行ったのですが、年が改まって21年1月10日大阪市中央公会堂で第4回タナゴサミットが開催されました。その案内によるとイタセンパラは数年前淀川から姿を消したことが記され、その復活に向けて考える。更に別の個所では楠葉ワンドへのエスカレーションが設定されました。要するに淀川ではイタセンパラは絶滅しており、その復活に向けて楠葉ワンドで放流を行うということです。当日会場で確認をとりましたが、これは私達が本種保全のため6年前から主張してきたことではありませんか。
 私としてはどうも納得がいかないので、今までの経過を少し遡ってみたいと存じます。流水域にあって淀川大堰の影響を受けない楠葉ワンド群の復活によるイタセンパラの再生は、平成13年夏当時の淀川河川事務所長宮本博司氏と木村が話し合って計画を進めることになり、第1号ワンドは平成14年6月初旬に完成、ついで平成15年2月初旬に第2号ワンドが完成しました。
 直ぐに二枚貝を移植し、ついでイタセンパラ稚魚も放流すべきであると考えたが、淀川環境委員会が干渉してきた結果、二枚貝の移植は認めるがイタセンパラ稚魚の放流は認めない。そういう不自然なやり方は止めて、自然流入を待つべきであるということになりました。
 二枚貝の移植は平成15年9月11日紀平肇氏の指揮でシステム環境コンサルタントの手で行われました。3年ないし5年ものイシガイを100個体番号をつけて20個あて5ヶ所に移植しました。一応これで移植は成功したものと思っていたのだが、それが突然に駄目になってしまった。出水のために二枚貝が全部流れてしまったそうです。出水すれば再移植するべきですが、そうはならなかった。要するにイタセンパラの緊急保全事業は失敗したということでした。
 宮本所長との約束では、ワンドは5号まで造成することになっていたのだが、これも2号で打ち切りになってしまいました。実は宮本氏は平成16年4月に吉田延雄氏と交代されたので、今までの約束は反故にされたのです。
 ここで私が言いたいのは次のことです。
 もし私共と宮本所長との約束が守られていて、ワンドも5号掘削され、二枚貝も豊富に移植され、イタセンパラ成魚と稚魚も放流されていたなら、本種は楠葉ワンド群で保全され、絶滅は免れていた可能性が大であると。その証拠に6年後私の提案したのと同じことを環境委員会が行おうとしているではありませんか。
 要するに彼らにとって一番大切なことは自分たちの立場を守ることで、イタセンパラの保護はその次に来るものらしい。別に個人的に悪い人達ではないのだが、その立場を守るという大義のためには、間違ったことをしてもそう感じなくなるものらしい。なんとしても自分たち以外の関与を排除することを第一目的とする。一種の官僚的手法ですかな。
 以上の経過から見て私は淀川のイタセンパラ再生事業は淀川環境委員会を排除して、その中の個人専門委員若干を加えて新しい小委員会を組織して、行動的に進めるべきであると考えました。この案をタナゴサミット会場で小俣淀川河川事務所長に示したのですが、所長としては立場上かなり難色を示されました。まあ無理もないことですが。
 ここでもう一つ取り上げたいのは、彼等が一時一生懸命になった城北ワンド群での本種再生活動です。淀川下流域のダム湖的性格への変化のために本種は絶滅したのであり、そのことは彼等もよく分かっているのに、なおこの水域での再生に固執した。心中では楠葉ワンド群での再生をやりたくないためでしょう。産卵母貝となる二枚貝が依然生息していることがその根拠です。将来イタセンパラが浮出する可能性が全然ないことはないが、それはあくまでフロック現象であって、この水域で本種の復活を考えるには無理がある。そんなこと分かっているのに取り組んでみせたのは面目問題のためでしょう。
 ここで私が不審に堪えないのはメディアの動向です。メディアの鋭い勘からすれば彼等のこんな動きなど虚妄だと分かるはずなのになぜに追随してみせたのか。眞実を追及するのがメディアの目指すところではないのか。
 さて3月4日に淀川河川事務所長小俣篤氏より電話があり、淀川のイタセンパラ再生検討会を開くので、オブザーバーとして出席して欲しいとのことでした。第1回イタセンパラ再生委員会は3月10日午後3時より淀川環境管理財団大阪研究所会議室で開かれました。出席した委員は淀川環境委員会より5名、大阪府水生生物センターより1名、それに小俣所長を加えて7名。オブザーバーとして紀平肇氏と私を含めて4名。事務局は淀川河川事務所河川環境課と河川環境管理財団という構成でした。この会に私が出席できたのは小俣所長の配慮によるものです。
 当日私は積極的に発言しました。かなり嚴しい批判も述べましたが、反論は全然ありませんでした。この検討会は3月に初まり6月に第5回まで予定されているのですが、私としては出来るだけ時期を早めて早急に結論を出して欲しいと考えています。
3月に行われた検討会の内容に関してはまだ言うをはばかりますが、私としてはイタセンパラ再生事業の可及的速やかな開始のための議事しか念頭にありません。何故なら私は今年一年が正念場であり、今年中に楠葉ワンド群での本種再生活動を成功させねばならないと考えているからです。
 みなさまの御支援を願って止みません。

オオタナゴ問題
 昨年9月末に土浦の自然を守る会の萩原富司氏外より霞ヶ浦に侵入した外来魚オオタナゴの調査に関する報告を受け取りました。それは恐るべき内容でした。かつてのブラックバスやブルーギルのように、中国大陸からのシルバーインベーダーはわが国の淡水域を占領して、在来のタナゴ類を駆逐し去るおそれを予告するものでした。この兇相を帯びた外来種は特定外来生物種にも指定されていないので、全国の淡水域へ放流することも禁止されていないのです。
 私は直ちに昨年10月25日付で環境大臣あてオオタナゴを至急に特定外来種に指定するようにとの強い要請を送りました。この要請に対する回答は全然受け取っておりません。なおこの後で私の身辺に少し奇妙なことがありました。私の昔の女性問題に関してききこみがあり、私は何の警戒もしていなかったのですが、それが私に対するネガティヴキャンペーン、つまり私の保護活動を否定する材料として使われた形跡があるのです。
 この外にもタナゴサミット会場で変になれなれしい男が近寄ってきて、署名をねだり写眞を取りました。ある会議の後では木村は足許がおぼつかない云々という風評が飛びかったようです。たしかに年とともに衰えてきておりますが、木村は今死にもの狂いです。裏の動きに対しても激しく対応する覚悟を決めております。
 さてその後私の方に入った情報では、外来生物法の見直しは来年のことで、今この問題を持ち出して早急な決定を迫られるのは困るとのことですが、私は行政の怠慢は必ずや将来恐るべき結果を招来するものと考えて、危惧に堪えない次第です。
 なおこの問題に関して研究者側からもっと積極的に行政に対する働きかけがあって然るべきだと思いますが、どうもそういう動きはないようです。

京都府亀岡市のアユモドキについて
 亀岡市を流れる淀川水系大堰川支流祖我谷川に残存する淀川水系最後のアユモドキの保全に関しては、高田昌彦をはじめ私共は度々激しい批判を展開しました。
 ところがこの件に関して環境省野生生物課よりの要請により、平成17年12月20日に近畿地方環境事務所野生生物課長徳田裕之氏により説明を受けたところ、非常に強い調子で当時の保護状況の進展について説明され、地元の熱意で以って状況は改善されているので、この際外部より余計な介入は止めて欲しいとのことでした。ここまで環境省の現場責任者がいうのなら委かせてよいのではいかと考えたので、私共は淀川のイタセンパラ問題に集中することとして、アユモドキ問題から手を引くことにしました。
 ところがです。アユモドキ問題は意外な展開を示すことになりました。平成20年10月8日付京都新聞によると、9月23日の調査でアユモドキ当歳魚が全然確認されなかった。また、1歳魚以上の個体数も激減しているとのこと。アユモドキの高齢魚は産卵しなくなると考えられているので、このままでは絶滅は目前ではないですか。
 さらに11月20日付京都新聞では、アユモドキの生息河川へのブラックバスの侵入源と見られてる安町大池でバスの駆除を行って、557匹を捕獲したとのこと。たしかにバスによるアユモドキの食害は本種激減の理由の一つではありますが、本質的な問題は形質の劣化です。当歳魚絶無の原因がバスの食害のみによるというのには無理がある。
 バスが安町大池にすみついていたのは何年も前から分かっていたことであり、今さらその捕獲をやってみたところで、これは本種絶滅の責任をバスに押しつけようとする作為以外の何物でもありません。たしかにバスも悪い奴だけど、方々で絶滅責任を押し付けられることで行政のお役に立っているようです。
  今やるべきことはアユモドキの残存魚を人工管理に移してその産卵を誘導することにつきます。ブラックバスの駆除は毎年継続した上で、人工増殖に成功した本種を放流すべきでしょうが、その前に河川環境をよく整備する必要があります。

淀川水系外来種対策基金より300万円の引き上げについて
 平成18年上期の報告で淀川水系外来魚対策基金に触れて、6月27日現在で6246,024円を保有している旨報告しました。そのうち600万円は私が拠出したものですが、その中から300万円を20年10月23日に引き上げることにしました。
 理由は外来魚対策は現状では少々の資金では役立たないので、この際他の目的主として稀少淡水魚の保護に転用しようということです。そういうことで現在の基金は20年10月31日現在で2468,000円となっております。
 以上報告を差し上げます。(平成21年3月25日)


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