平成20年上半期6月からのご報告

随分とご報告が遅れたことをお詫び申し上げます。本来夏にかかるべきところ、本年はすっかり参ってしまって、夏の間中動けませんでした。やっと9月に入って活動を再開したのですが、今回は国交大臣あて送った要請を掲載させて頂きます。

国土交通省大臣 谷垣禎一殿                      平成20年8月28日                       
                                   淡水魚の窓・主宰・木村英造

淀川のシンボルフィッシュ・イタセンパラの保全と再生についての要請

陳者私儀さる平成18年2月18日付けで当時の北側一雄大臣あて淀川の魚類生態系に関する緊急要請を差し上げました。その要請において、イタセンパラの絶滅の恐れと絶滅防止の対策を申述べたのでありますが、残念ながら対策は遅れて、現在本種は絶滅状況に立ち至っております。既に淀川下流部の外来魚の占有率は魚量の95%をしめており、在来魚はほとんど見られない状況であります。
さて私は19年10月20日付けで「淀川のシンボルフィシュ・イタセンパラ」という著作を発行いたしました。この本のなかで私は昭和46年以降の淀川のイタセンパラ問題の経緯を詳述したのでありますが、前任の貴省近畿地方整備局長布村明彦氏がこの本を読まれた結果、20年2月7日に当時の淀川河川事務所長吉田延雄氏を伴われて拙宅へ見えて、本種保護のための提案を示されました。その提案では私どもの本種保護のための対策の大部分を容れていただくこととなりました。
ただ下流部城北ワンドについて現在行われている対策には賛成いたしかねますが、既存の取水口を改良して、大堰の平常時水位を約50センチ下げるという提案が実施された後で、かなり状況は改善されると考えております。  
また上流の樟葉地区と支流の木津川における対策の提案はきわめて有効でありますが、これに対して私どもは、樟葉地区ワンド群の活用を最優先し、かつ二枚貝の定着実験を至急に開始されたいよし希望を述べました。
20年5月2日には新任の小俣篤淀川河川事務所長も見えて、本種再生について協議しました。こうして淀川のイタセンパラ再生活動はいまや開始されるかに見えたのですがまたもや邪魔が入りました。淀川環境委員会が樟葉ワンド群への二枚貝放流に会として反対の立場を固執したのです。個人的な話し合いでは魚類関係の会員は諒解していたのですが、会として反対といわれるとどうしようもありません。しかも反対会員の氏名は言ってくれないので、説得のしようもありません。諒解していた会員もどうも二枚舌を使っていた印象があります。これが本年5月に入ってからの状況です。
そこで6月16日淀川環境委員会の事務所に井上和也会長をたずねて説明をもとめました。井上氏の言では、下流部のイタセンパラはまだ絶滅状況ではないとの事、樟葉ワンド群への二枚貝放流は会議の議題には載らなかったとの事。会長自身は魚の専門家ではないので専門家の意見にしたがうしかないとのことでした。
こうして問題は進展しないままでしたが、6月下旬新聞紙上で布村局長の転任の記事を読みましたので、すぐに私は布村氏あて今後に関する照会の書信を送りました。
ところが7月1日小俣所長より電話あり、二枚貝放流の実験を樟葉3号ワンドにて開始することに決定したとのことでした。なおついでに城北ワンドのイタセンパラ再生については、誰も無理だと認めている旨伺いました。本種の野生絶滅はほとんどの専門家が認めているところですが、環境委員会も認めざるを得なくなったようです。
7月2日には布村局長より電話あり、しばらくして書面を送るとのことでした。さらに7月5日淀川河川事務所後藤河川環境課長より速達で樟葉1・2号ワンドの二枚貝生息状況の表が届きました。非常に興味深いものでした。ただ私としては環境委員会は何故3号ワンドにこだわるのか、小さいけれども自然環境の優れた1・2号ワンドの放流をあわせて行ったらどうかとの勧告を送りました。
以上が今日までの状況です。その後の報告を頂いておりませんが、よい時期を外した酷暑の放流がうまくいったかどうか心配しております。
7月初旬の新聞報道によりますと、貴省近畿地方整備局は、樟葉地区ワンドでイタセンパラの産卵環境を整備すると発表されました。成魚がいるときに備えて云々という事ですが、本種の成魚の生存期間は1~2年、既に絶滅状況は3年以上にわたっております。この際絶滅を認めて、その再生の努力開始を発表されるのが、順当ではありますまいか。
以上お伺いを申し上げるとともに、至急のご回答を期待します。 敬具

国土交通大臣 谷垣禎一殿                       平成20年9月5日
                                  淡水魚の窓主宰・木村英造

淀川のシンボルフィシュ・イタセンパラの保全と再生についての要請再送

前略 陳者私儀去る8月28日付けをもって上記の要請を差し上げました。その後一週間を経過しますが、いまだご回答を頂いておりません。本来ならば今しばらく待たせて頂くべきでありますが、政局急展開の折から事態の変化もあるものと存じ勝手ながら再度ご回答のお願いを申し上げます。まことに失礼の段お許し下さいませ。
なお付記いたしますと、私は淀川のイタセンパラ保全のため最善の努力をつくすこ とのみを念じており、他意はございません。よろしくご理解くださいませ。 敬具  


さて以上の要請に対して9月25日現在まだご回答を頂いておりません。
現在の状況のようにイタセンパラの絶滅を認めようとせず、したがってその再生活動も開始せず、中途半端のまま放置するやりかたは、甚だ無責任であると考えるべきでありませんか。汚染米問題で見られたように、誰も責任者がないままで放置する官僚的手法が稀少生物の絶滅を促進しているのです。このような無責任体制のまま推移すれば今後わが国の稀少生物は,殆どいなくなるでしょう。
私は現在のイタセンパラの絶滅状況を招致した原因は、淀川環境委員会の誤導によるものと考えます。だからと言ってその責任を追及しようとは望みません。潔くその誤導責任を認めて、再生のための努力を開始すれば、それで償いになると考えます。

わたしもすっかり疲れはてました。今回の報告が私の出来る最後の報告であり、おそらくイタセンパラ再生のための最後の警告ではないかと,危ぐしております。
なお今までの報告に対する反論をきいておりませんが、あれば遠慮なくお申し越し頂 きたい。私も謙虚に最後の勉強をさせて頂きたいと念願します。
                                        (平成20年9月25日)


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