平成19年度上期のご報告  

昨平成18年度は息も詰まるばかりの激しい展開を見せましたが、その割には状況の打開が明確になりませんでした。
 私共は既に平成17年度後期より関係行政に向けてイタセンパラの保護のための緊急要請を発信し続けていたのですが、行政側の対応はかなり鈍いものでした。ついに昨年度は本種の仔稚魚の浮上が見られず、その絶滅状況が5月に判明したのですが、ようやく行政の対応らしきものが現れたのは、昨年10月に開かれた「第2回淀川稀少種情報交換会」の席上でした。
 しかし既にその前に前期の報告で述べたように「淀川水系イタセンパラ研究会」会長小川力也名義にて昨年9月1日付で「淀川水系におけるイタセンパラの現状と今後の保護対策に関する意見書」が日本魚類学会長あて送られて、この意見書に基づいて18年12月25日付で「淀川水系におけるイタセンパラの保護に係わる緊急要請」が日本魚類学会長より国交大臣あて提出されました。この緊急要請に対してどのような回答が寄せられたのかが私共には分かりません。確か1月末には寄せられている筈なのですが、誰も教えたがらないのです。何か私共に知られることをはばかるような表現が使われているのかも知れません。
 ただ淀川河川事務所が急にイタセンパラ保護に熱意を持ち出して、本年2月には吉田延雄所長直々の指揮で木津川下流部に約500平方メートルの三つのタマリを造成しました。木津川のイタセンパラ生息地の調査にも熱心に取り組んでいるようです。また楠葉ワンド造成にも力を入れだし、取りあえず第3号ワンドを造成中で、本年度はさらに三つ造成する計画だそうです。
 本流部の城北ワンド地区では、研究者側が熱心に流水域の造成を主張していますが、具体的な計画はまだ立っていないようです。なにぶん生息環境が全く失われてダム湖化されている現状ですから、確信的な計画は立てにくいように思います。予測もつかない障害が生じて計画を台無しにするおそれ無きにしも非ずと言えるでしょう。
 ところで本年即ち平成19年度のイタセンパラ仔稚魚浮上数調査ですが、関係者は凄まじい熱意で以て調査に取り組んだようですが、ついに1尾も見付からず、その結果が6月8日に公表されました。2年連続でゼロということで、城北ワンド群、いや下流域全体でイタセンパラの絶滅状況がほぼ確実となりました。
 しかし私共は上流域、ことに木津川においてイタセンパラ野生個体群がまだ残っている可能性に期待したいと存じます。ただ木津川の環境も河床低下のために年々悪化しているので、たとえまだ生残しているとしても、その保全は困難な仕事です。早急に保護区を設定すると共に監視体制を作らねばなりません。
 さて淀川河川事務所ではイタセンパラ絶滅に対して、遅まきながら対策を取り出すようです。その出された書類を見ると、外来水草の除去、ワンドの再生など書かれていますが、一番有効な対策は大阪府水生生物センターと共同して行うイタセンパラの飼育対策の強化でしょう。具体的には現在一つの保護池を三つに拡大することで、9月までに整備を終えるとのことです。  次に書かれているのが、ワンドの倍増計画です。現在残存しているワンド数46を今後10年間に90以上にするようです。高槻市唐崎、島本町水無瀬、枚方市牧野等が候補地になっているようです。
 私共は流水域で二枚貝の生息、繁殖の可能なワンドを増やして欲しいと熱望していますが、それとは少しニュアンスが違っているように感じます。ともあれイタセンパラ生息地の保全活動が私共の提案にかなり近いやり方で進められようとしていることに安堵を覚えております。
 さて最後に淀川の外来魚問題を取り上げたいと存じます。
 淀川における外来魚、特にブルーギルとブラックバスの脅威は"凄まじい"の一語につきます。昨年4月9日に高田昌彦が主催する「琵琶湖を戻す会」の名において、淀川での第一回外来魚駆除釣り大会を開催したことは既に報告しました。この釣り大会は市民の関心を引く上で成功を収め、それまで傍観的立場だった行政も駆除活動を開始するきっかけとなりました。同時にこの釣り大会は現在淀川の流れの中で起こっている惨状を改めて市民に訴える効果がありました。釣れたのは外来魚ばかりで、在来魚は1尾も釣れなかったのです。
 本年の外来魚駆除釣り大会はやはり高田昌彦の手で4月29日に淀川下流部城北ワンド群で開催されました。市民の関心は高く、昨年の倍近い200名弱の参加がありました。釣れた魚はギルとバスのみで49.4kg、在来魚は大きなフナ2尾とヒガイ1尾が確認できただけでした。その他カムルチーが2尾釣れました。ブラックバスは40cm前後の大物がミミズの餌で何尾も釣れました。
 こうして本年の釣り大会も淀川の危機的状況を訴える上で成功を収めたのですが、しかし年一回この程度の駆除をやっただけでは全く実効はありません。淀川下流部の外来魚の涵養源は、何と言っても淀川大堰上流の湛水域です。現在淀川河川事務所と大阪府水生生物センターの手でワンドを中心に、懸命に外来魚の駆除を行っていますが、肝心の涵養源をそのまま残しておいたのでは、ほとんど意味がありません。
 そこで5月20日付で大阪府水生生物センター長宮下敏夫氏あて書信を送りました。内容は淀川下流部の湛水域が外来魚の涵養源になっているのだから、この水域で駆除をやるべきではないか。私共の方で電気ショッカー船を提供するからやってもらえまいか、というものでした。返事が来ないので電話してみたが、もう一つ乗り気でないようでした。
 以上が本年上期の報告です。 一応状況はよい方向へ進み出した印象ですが、まだまだ安心できません。ことに外来魚問題は絶望的状況のままで、打開に向けて進んでいるとは申しにくい現状です。しかしイタセンパラにせよ外来魚問題にせよ、ともかく打開のための行動が開始されていることを認めて、明るい未来を待望しようではありませんか。
 なお本年春刊行予定と申し述べました「淀川の稀少魚イタセンパラ−その絶滅と再生について」は、状況の進展を今しばらく見守る必要があるため、少し延期します。既に100枚前後の原稿は書き上げているのですが、添付する参考書類の整理もあり、しばらくお待ち下さいますよう。
 さて最後にお願いを申し上げます。 「地獄耳」通信によりますと、ボケの来た木村を淀川問題から手を引かせろという声が強くなっているそうです。愚直は良くないようですね。木村も最近はボケの兆候が出ていますので、もう潮時かなと感じております。
 多少気になるのは、自分たちの言えないことを木村に言わせていた連中に、後を任せて大丈夫かな、ということです。木村は幾分ホッとしておりますが、今後「市民的監視」の役割をみなさまにお願い致します。 (平成19年7月1日)


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