
イタセンパラについて
上期に報告した樟葉の第二ワンドにイタセンパラの産卵用二枚貝を移植する件は、大分遅れて9月11日に紀平肇氏の指揮で、システム環境コンサルタントの手により、3年乃至5年ものイシガイを100個体番号をつけて20個アテ5箇所に移植しました。この移植によりイタセンパラが樟葉ワンドに出現する可能性は非常に強まったものと考えられます。
既に9月16日の調査によると、秋産卵型の大型のタナゴであるカネヒラが姿を現したそうです。なお新しい幼貝若干が水際で見付かりましたが、これらは来年に産卵母貝となる見込み大です。おそらく樟葉ワンド群はやがてイタセンパラの主要生息地の一つとなるでしょう。現在問題となっているコイヘルペスの影響がどの程度出るかについて心配は絶えませんが、願わくは早期の回復を期待したいものです。
アユモドキについて
淀川上流桂川の亀岡地区に残存する種の天然記念物アユモドキの保護に関しては、本年は何の進展もありませんでした。たまりかねて私どもは8月18日付けで文化庁長官河合隼雄氏あて”種の天然記念物アユモドキの保護に関する上申書”を提出して、本種の保護に関して警鐘を鳴らしました。多少の反響はあったようですが、依然として地元の保護活動が進む兆しはありません。紀平肇・高田昌彦氏など多くの同志が本種の生息地調査にかかわっておりますが、地元行政にはアユモドキがすんでいるのが迷惑でしょうがないという印象があります。このままでは亀岡地区のアユモドキは絶滅する恐れが強いと考えられます。
幸いに手許に亀岡のアユモドキの生態調査に数年来取り組んでいる高田昌彦氏の提案があります。同氏は改めてこの提案を取りまとめる意向のようですが、ことは急ぎますので取り敢えず概要を述べます。以下同氏の主張。
昨2002年岡山県の瓜生川水系で小林一郎氏によりアユモドキ稚魚が発見され、本年に詳細な調査が行われて、その繁殖行動が阿部司氏によってビデオに収められた。そこで確認されたことは、アユモドキの繁殖行動に必要な条件を備えた水域とは、灌漑の増水によってできる一時的水域の浅瀬で、陸上の植物が密生していて且つ流れが殆どない場所である。
さてこの条件を祖我谷川周辺に当てはめて見ると、祖我谷川本流両岸に広がる河川敷がその条件に見事に合致する。
そこで次の提案を行いたい。
1.河川敷の保全
これはこの川の生命線とも言える部分であり、街中を流れる川としては奇跡的に天然の護岸が残されていて豊かな生態系が保全されている。この河川敷に手を加えたりコンクリイト化してはならない。それは即本種の絶滅につながる。
2.ファブリダム(ゴム系の可動堰)
アユモドキは繁殖場所としてファブリダムを閉めることで出現する一時的水域を代用している。従って減反等による灌漑の必要の有無にかかわらず、ファブリダムの操作は毎年同時期に行う必要がある。又本種の生息場所はダムの下流側にあると思われるので、ダムを閉める前に2日ばかり水田からの泥水を流してアユモドキの産卵行動に刺激を与え、ダムの上流部に誘引する工夫が必要である。
3. 非繁殖期の生息場所の保全
ファブリダム上手と下手に密魚防止と隠れ場所確保のため、集魚ブロック・捨石・テトラポットを投入すること。
以上、高田昌彦氏の緊急提案を呈示しました。いずれも実行困難なことではありませんので、至急に検討して頂きますようお願い申し上げます。
11月28日付け朝日新聞朝刊によると、首相官邸主導で環境保全を目的とした”琵琶湖・淀川流域圏の再生”を進めるそうです。具体的にどういうことになるのかはまだ分かりませんが、よい進展があると期待したいものです。
私もかなり老化して仕事が思うように進みません。申しわけないのですが今後も専心努力いたしますのでお許しくださいませ。なお、念のため申し述べさせて頂きますと、私の後継者として高田昌彦氏を指名したいと存じます。